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お知らせ

眼科学専門書「小児眼科学」が改訂増刷されました。

2018.10.14
2015年10月に刊行された専門書「小児眼科学」が先月、改訂増刷されました。コンタクトレンズの管理について、院長が執筆しています。本書は刊行後、全国書店や眼科系学会の会場で長く売れ続けており、多くの眼科医や視能訓練士の方々に好評を得ているそうです。機会がありましたら御一読下さい。

藤巻拓郎  編集:東 範行 小児眼科学 第1版第2刷 第6章 屈折異常と眼鏡・コンタクトレンズの管理 コンタクトレンズの管理 101-5 三輪書店 2018
以下、一部ご紹介します。

Ⅳ.オルソケラトロジーの問題点
オルソケラトロジー(以下、オルソK)とは、就寝中のみ内面のカーブが緩やかなHCL装用し、角膜中央を平坦化させることで近視を矯正する方法である。内面はリバースジオメトリーと呼ばれる4種の同心円領域からデザインされている。効果は一時的なので、矯正を継続するには毎日夜間の装用を要する。「オルソケラトロジーガイドライン(第2版)」では適応年齢を原則20歳以上とし、未成年者への処方に対しては慎重処方とする、と改正された8)。小学生のCL使用率は0.2%だが、オルソKはそのうちの19.2%と年々増加している6)。つまり夜間視力の低下、角膜高次収差の増加、アカントアメーバ角膜炎などの重篤な感染症リスクが増加、就寝時装用による角膜酸素不足、角膜内皮細胞減少などが危惧される。オルソKレンズは酸素透過性が高く汚れやすい。特にベースカーブとリバースカーブの境界は涙液が貯留するtear reservoir zoneとなっておりケアが難しい。近年小児において眼軸長延長抑制効果が報告がるが9)屈折矯正の長期予後についてはなお不確定な要素があること、正常な角膜に変化を与えることなどから、慎重に適応例を選択しなければならない。

文 献
木下 茂,大橋裕一,村上 晶,他:コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版). 日本眼科学会雑誌 118:557-591, 2014
横山利幸:乳幼児のコンタクトレンズの処方とその注意. 日本の眼科 71:170, 2000
高橋康造,植田喜一:乳幼児に対するコンタクトレンズ. コンタクトレンズ学会誌 53:18-26, 2011
土至田宏,由井あかり:無水晶体眼へのコンタクトレンズ処方. 眼科プラクティス 27:179-183, 2009
長谷部聡:小児の近視予防 光学的治療法と視覚環境のインタラクション. 眼科 56:965-972, 2014
宇津見義一,宮浦 徹,柏井真理子,他:平成24年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査. 日本の眼科 85:346-366, 2014
日本コンタクトレンズ学会 http://www.clgakkai.jp/index.html
村上 晶,吉野健一,植田喜一,他:オルソケラトロジーガイドライン(第2版). 日本眼科学会雑誌121:936-938, 2017
大鹿哲郎,平岡孝浩:オルソケラトロジーが小児期の眼軸伸長に及ぼす影響に関する研究. 日本の眼科 84:42-50, 2013

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