「小児科臨床」増刊号 発行!
2018.10.20
小児科臨床第71巻 増刊号 よくある疾患の診かた -他科からの助言- (株式会社 日本小児医事出版社)が、10月20日に発行されました。眼科 p.2196-200(372-6) 7. 遠視・近視・屈折異常・弱視 ならびに、p.2215-7(391-3) 11. 斜視 について、院長が執筆しています。小児科専門雑誌ですが、機会がありましたらご覧下さい。以下、一部を御紹介します。
7)遠視・近視・屈折異常、弱視
こひなた眼科 藤巻拓郎
キーワード 遠視 近視 乱視 屈折異常 弱視
■視力の発達
視覚は、光覚、色覚、形態覚、動態覚、立体覚の5つの感覚から構成されているが、形態覚(形を見分ける感覚)の一部で、2点を2点として識別する能力が視力である。光覚は修正28週頃から対光反射、視覚誘発電位(visual evoked potential:VEP)で確認されはじめ、視力は出生直後の新生児で(0.02)~(0.05)程度といわれている。その後視力は急速に発達し、視覚感受性が1歳半ごろピークに達すると徐々に低くなり、3歳過ぎには正常視力の(1.0)になる、その後更に感受性は低下し、8歳以降のどこかの時点で臨界期に達する。視路に器質的異常が無い場合、視力が発達する条件としては、両眼の視線が一致していることと、両眼のピントが合っていることが重要である。・・・・・・・
11)斜視
こひなた眼科 藤巻拓郎
キーワード 偽斜視、斜位、乳児内斜視、調節性内斜視、間欠性外斜視
視覚は、光覚、色覚、形態覚、動態覚、立体覚の5つの感覚から構成されているが、このうちの立体覚は立体視とも呼ばれ、生物が進化の過程において、視覚器を左右に2つ獲得した個体の方が、生存に有利であったため受け継がれてきたと考えられている。両眼視機能には、両眼で同時に見る同時視と、左右の像を一致させる融像、更にその上位に立体視が成立するが、これら3つをWorthの三要素と呼ぶ。この両眼視機能は生後3〜4ヶ月から発達が始まり、2歳には成人レベルの80%、5歳で発達が完了する感覚である。この様に視機能が急激に発達する乳幼児期に斜視があると、両眼視機能の発達を阻害し、両眼視機能不全を引き起こす。斜視とは眼の位置が正常でない状態のことで、眼位の異常に起因する両眼視の異常が加わったものである。従って斜視治療の目標は眼位の改善である整容的治癒と、両眼視の獲得である機能的治癒となる。眼位の異常はあるが両眼視の異常がない斜位は、斜視とは異なり機能面での治療は通常行なわれない。斜視の場合、脳は優位眼の情報を選択するため、両眼視の基礎となる左右均等であるべき視力の発達に差が生じ、機能的治癒の妨げとなる。乳児内斜視の場合、立体視獲得を目的とした超早期手術が近年推奨されつつある。・・・・・
2018.10.20
7)遠視・近視・屈折異常、弱視
こひなた眼科 藤巻拓郎
キーワード 遠視 近視 乱視 屈折異常 弱視
■視力の発達
視覚は、光覚、色覚、形態覚、動態覚、立体覚の5つの感覚から構成されているが、形態覚(形を見分ける感覚)の一部で、2点を2点として識別する能力が視力である。光覚は修正28週頃から対光反射、視覚誘発電位(visual evoked potential:VEP)で確認されはじめ、視力は出生直後の新生児で(0.02)~(0.05)程度といわれている。その後視力は急速に発達し、視覚感受性が1歳半ごろピークに達すると徐々に低くなり、3歳過ぎには正常視力の(1.0)になる、その後更に感受性は低下し、8歳以降のどこかの時点で臨界期に達する。視路に器質的異常が無い場合、視力が発達する条件としては、両眼の視線が一致していることと、両眼のピントが合っていることが重要である。・・・・・・・
11)斜視
こひなた眼科 藤巻拓郎
キーワード 偽斜視、斜位、乳児内斜視、調節性内斜視、間欠性外斜視
視覚は、光覚、色覚、形態覚、動態覚、立体覚の5つの感覚から構成されているが、このうちの立体覚は立体視とも呼ばれ、生物が進化の過程において、視覚器を左右に2つ獲得した個体の方が、生存に有利であったため受け継がれてきたと考えられている。両眼視機能には、両眼で同時に見る同時視と、左右の像を一致させる融像、更にその上位に立体視が成立するが、これら3つをWorthの三要素と呼ぶ。この両眼視機能は生後3〜4ヶ月から発達が始まり、2歳には成人レベルの80%、5歳で発達が完了する感覚である。この様に視機能が急激に発達する乳幼児期に斜視があると、両眼視機能の発達を阻害し、両眼視機能不全を引き起こす。斜視とは眼の位置が正常でない状態のことで、眼位の異常に起因する両眼視の異常が加わったものである。従って斜視治療の目標は眼位の改善である整容的治癒と、両眼視の獲得である機能的治癒となる。眼位の異常はあるが両眼視の異常がない斜位は、斜視とは異なり機能面での治療は通常行なわれない。斜視の場合、脳は優位眼の情報を選択するため、両眼視の基礎となる左右均等であるべき視力の発達に差が生じ、機能的治癒の妨げとなる。乳児内斜視の場合、立体視獲得を目的とした超早期手術が近年推奨されつつある。・・・・・